
スポーツ用品とサプリメントの販売会社経営
昭和39(1964)年、アジアで初めてのオリンピックが東京で開催された。バレーボールでは、東洋の魔女と呼ばれた日本の女子チームが金メダルを獲得し、マラソンでは、故・円谷幸吉選手が銅メダルに輝いた。これらの活躍に胸を打たれた阿波さんは、まだ、高校3年生。そのころは、将来、自分がスポーツ関連の職業に就くとは、夢にも思っていなかった。
5年後、大学を卒業した阿波さんは、地元香川の、あるスポーツ用品の製造販売会社に就職。東京オリンピックを契機に、政府が国民の体力向上に力を入れたため、筋トレ用の器具などが普及し始めていた時期だった。
「まだ、ダンベル、バーベル、鉄下駄といった古典的な器具が主流でしたが、スポーツジムで使われているようなウエートトレーニングマシンがアメリカで開発され、徐々に、輸入、販売されるようになりました」
高度経済成長の波にも乗り、マシンは飛ぶように売れ、業績は順調に伸びていった。また、スポーツ施設やトレーニングジムなども増え、阿波さんの会社も輸入販売から、マシンを自社で開発し、製造販売するようになった。
高校野球の現場でもトレーニングマシンは使用されるようになった。“やまびこ打線”と呼ばれ、甲子園で圧倒的な強さを見せつけ、大旋風を巻き起こした徳島県の池田高校でも使用されていることが報道されると、全国の高校でも使用されるようになった。
「作れば売れる」
という時代だったと阿波さんはいう。業績が上がるとともに、事業は拡大、10年間も東京に単身赴任し、マシンを売りまくった。
順風満帆だったビジネスだが、少しずつ陰りが見え始めた。
3日、3月、3年、我慢
バブル崩壊を機に、マシンの売れ行きが急激に落ち込む。不況の影響もあるが、競合するメーカーや販売店が増えたことも大きな原因だった。競合他社とのダンピング競争にも巻き込まれ、そこから抜け出すことができず、平成7(1995)年、ついに倒産してしまった。
会社整理を任された阿波さんは、2年間、メーカーをはじめ、購入してもらったスポーツ施設などの間を奔走し、収拾をつけた。そして、平成9(1997)年、取引先などの勧めもあって独立。会社を立ち上げた。
退職金はゼロ。そのため、家を担保に国民金融公庫から借金し、倉庫を借りてのスタートだった。しかし、1年目の売り上げはわずか300万円。経費を引くと利益はほとんどなく、厳しい状況が長く続いた。
「失業保険をもらい、家内が保母として働いていたため、生計はなんとか立っていましたが、将来のことを考えるとかなり不安でした。それでも、“3日、3月、3年”と自分にいい聞かせながら、我慢の日々を送っていました」
ちょうどそのころ、パソコンが一般の人にも浸透しはじめ、インターネットができるようになった。NECの98というパソコンを購入した阿波さんは、さっそくインターネット通販のホームページを立ち上げ、トレーニング用品やサプリメントの販売を開始した。楽天のスタートと同時期にあたり、かなり先見の明があったといえる。なかでもエアロバイクは大ヒット。
11万円もする高価なマシン。しかも現物に直接手を触れることができないインターネット通販では、そんなに売れないだろうと、メーカーも高をくくっていたが、ホームページに掲載して3カ月目くらいから徐々に売れはじめ、大きな利益をあげていった。
また、プロティンをはじめとするスポーツサプリメントは隠れたヒット商品。故障しにくいからだづくりのためには必需品で、ボディビルダー、プロレスラー、野球選手などの間では人気がある。スポンサーとの契約があるため、オープンにはできないが、一流アスリートの中には、阿波さんの会社のプロティンを飲んでいる人が多い。
「スポーツサプリメントは種類も多く、インターネット通販などでも簡単に購入することができます。そのため、競合他社も多く、結局、価格競争になっています。これを避けるため、確実に効果があがるものを独自に開発し販売しています」
自社のスポーツサプリメントは、現在13種類。順調に売れ上げを伸ばしている。
美容は健康の延長線上にある
「勤めていた会社が倒産してから10数年。人生の再出発を迫られたときには、随分悩みましたが、自分が歩んできた道を、もう一度歩いて行くことしかないと思い、腹をくくってまっすぐ進んできました。成功のゴールがどこにあるのかはわかりませんが、“3日、3月、3年”と自分にいい聞かせ、我慢することが大切なのではないかと思います。継続は力です。長く続けることで、ビジネスに必要な信用もついてくるのです」
現在、スポーツサプリメントには、多くのメーカーが参入している。しかし、阿波さんは、マニアックなファンに支えられるような商品を開発することで、熱狂的なファンをつなぎとめている。
健康を突きつめていくと、美容につながる。アミノ酸、コエンザイムQ10、ヒアルロン酸など、からだにいいものは、当然、美肌、美白といった美容にもいい。今後は、女性にも支持されるようなサプリメントを作っていきたいという。
阿波さんの趣味はカメラ。ひとつのものをさまざまな角度から撮ると、同じものがまったく違うものに見えてくる。ビジネスも同様、既成概念を取り払い、まったく違う角度から見つめてみると、必ず新しい発見がある。
成功のカギはそんなところにあるのではないだろうか。
有限会社クレイン企画ネットワーク
〒762-0041 香川県坂出市八幡町2-7-16
TEL:0877-64-9672 / FAX:0877-64-9671
http://www.berserker.jp/
